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EPISODE 48:カラーバリエーション

アイビス通りに新しいアトリエを構えたのと同じ年、マリーはフランスに別荘を購入しました。場所はボルドーとトゥルーズの真ん中くらい。とても古い家でした。

早速、建築家に依頼して、改装をはじめました。壁の色をブルーグリーンに、天井の色はミルキーブルーに、そして天井にわたす梁の色を白に・・・マリーは自分でも不思議なくらい、この別荘づくりに夢中になりました。改装に2年もの年月をかけたほどです。

マリーは、多くの友人たちがそうするように、1年に1度、長いバカンスを取るよりは、仕事の合間や仕事にゆきづまったとき、ちょっとした休暇を取ることにしていました。そんなとき、このフランスの別荘は、マリーにとって、かっこうの隠れ家でした。ここにいると、思いがけないアイデアや、次にやりたいことが見えてくるのです。

ところでマリーは、デザイナーの仕事をはじめたころから、「色」に対して、ある種のこだわりをもっていました。「色には魔法の力がある。それは特徴を変えてしまう力。その力が私たちを新しくしてくれる。」と・・・。

いろんな色を使いこなす秘訣は、キレイになるための冒険心があるかどうか。年齢なんか関係ない。マリーは「冒険してみたい」という気もちをもっと挑発したいと思いました。

1991年にロンドンにオープンしたマリーのショップは、カラーバリエーションが豊富なことですでに評判になっていましたが、マリーの「色」への思いは、とどまるところを知らないかのようでした。そうして生まれたのが、120色のアイカラーと101色のリップ、99色のネイルたちでした。

マリーの色は、ファッションをデザインするときと同じスタンスで創られています。マリーには「口紅の色」という発想から「色」をクリエイトするなんて考えられませんでした。なぜなら、そのとき、その場所に合うファッションというのは、服装だけでもなければ、メークだけでもない・・・ふと膝においた指先のネイルがスカートの色にとけこんでいく、そんな素敵なトータライズされたファッションを彼女は提案したいと、いつも思っていたからです。

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