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EPISODE 44:QUANT ON MAKE-UP

日本で発売されたマリーのコレクションは、発売と同時に品切れが続出するほどでした。

そんなある日、ロンドンの出版社から「メークアップ本を書いてみないか。」という話がマリーにもちこまれました。コスメの世界でも、マリーはすでに大きな存在になっていました。

マリーはためらいませんでした。メークにしろ、ファッションにしろ、ことごとくルール違反をアピールしてきたマリー。出版社の期待するところがどこにあるのか・・・「今までの、ありきたりのメーク本じゃないもの」そう思うと、何だかとても楽しくなってきました。

「顔」をデザインする。「顔」からファッションを発信する。悪くないアイデアでした。

早速、腕利きの3人のアーティストとチームを組んで、制作に取りかかりました。マリーがクリエイトしたインスピレーション豊かなメークにプロのアーティストだけが知っている秘密のテクやヒント等々もプラスして・・・そうして完成したのが「QUANT ON MAKE-UP」でした。

「メークはお料理と似てる。コツを覚えるまではレシピにそって、コツをマスターしたら、即興で個性的に、自分の好みで創れるようになるから」

そんな書き出しではじまるマリーのメークブックはイギリスで大反響を呼びました。

何より、1ページ1ページが刺激にあふれていて、独創的だったからです。ロンドンっ子たちの間では、この本を持ち寄って互いにメークをしあう「メークアップゲーム」さえ流行したほどです。ロンドンっ子たちが、そんなふうにこの本にアプローチしてくれるなんて、当のマリーも想像すらしていませんでした。しかも、この本は「デロイト・ハスキング&セルズ」の第一回カバーデザイン賞までさらってしまったのです。

マリーのメークブックはすぐさま日本語に翻訳され、マリーのショップに並びました。本屋さんでは手に入らない「QUANT ON MAKE-UP」。マリーにすれば、この本も、立派な「雑貨」のひとつでした。

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