マリーが2度目の訪日を果たしたこのとき、日本ではおもしろい論争が展開されていました。
それは、「ジーパン論争」でした。
ことの発端は、ある大学のアメリカ人講師が「ジーパンをはいた女学生は教室から出ていけ」と発言したことだとか・・・。同感する男性も多いということでした。
なぜ、女学生だけ?・・・マリーは、女だからって、いつもいつも女らしくしている必要がどこにあるの・・・と不思議に思いました。そう言えばイギリスでも10数年前、同じような論争があったことをマリーは思い出しました。
今でこそ市民権を得ていて、オフィスでジーンズ姿も珍しくもないけれど・・・。
ファッションに関しては、新しいモノはいつも攻撃の的。そもそも、ファッションは大衆がリードするモノだから、それを固定観念でしばろうとしたって土台無理。ジーンズは他人と同化できるカムフラージュ的なところがあって、かえって勉強に集中できるファッションなのに・・・。マリーは、石頭の大学教授はさておき、イキイキとした活動的な女性が増えてきたことがうれしくてしかたがありませんでした。日本女性の意識も生活も変わってきた・・・マリーはそう思いました。
その頃、日本のファッション業界では、「ミニの復活」も話題になっていました。それに合わせたかのようなマリーの来日に、マスコミの質問は「ミニの復活をどう思うか?」に集中しました。でも、マリーは「復活」という言葉に首をかしげました。
だって、ミニは今や定番のスタイル。流行を越えたモノだとマリーは思っていたからです。マリーは最初にミニを発表してから、ず~っとミニを創り続けていました。
でも、今のミニと最初のミニは違う。
何が・・・って、東京の女の子たちのファッションを見れば、すぐに気付くはず。彼女たちの着こなし方、コーディネートは今までになかったものでした。ミニという「パーツ」(単品)を新しい趣向で組み合わせるのが、ニューウインド。
これからの時代は優れた小さなモノ、つまりパーツが主流になってくる・・・。
それはマリーのファッションの原点でもありました。