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EPISODE 27:メイクへの関心

英国王室第四等勲章を受章しても、マリーはマリー。

「先のことにしか興味がないの。」とあっけらかんとしたものでした。時には、ブルジョワたちの鼻っ柱をへし折ってやれとばかりに、「下品・・・大好き。上品ぶるなんて死んでいるのと同じよ。」などと発言したりして、ヒンシュクをかってしまうこともありました。

実はこの頃マリーの心は、昨年来の構想・・・新しい事業のことでいっぱいだったのです。

その新しい事業は、「何かが足りない・・・」というマリーのインスピレーションから動き始めていました。

ミニを世に送りだし、そのミニに合うようにとタイツを手がけ、下着も靴も「ミニ用のものが必要だから・・・」とデザインの世界を拡げてきたマリー。ちょうどこの頃、ヴィダル・サスーンもまた、服に合わせた新しいヘアスタイルをデザインして、ヘアの世界に革命をもたらしたのですが・・・。なぜか「顔」に関しては、誰も手をつけようとせず、依然空白のままだったのです。

足りないモノ・・・それは「顔」をデザインすることでした。その頃の化粧品会社は大手に牛耳られていて、型にはまったモノしかなかったのです。

マリーは、彼女がまだ美術学校の学生だった頃から、メイクにはとても興味をもっていました。その頃の一般的なメイクはルールにしばられたものでしたが、マリーたちは自分でデザインした服に合うようにクレヨンや絵の具を使って、印象派的なフェイス・ペインティングを試したりしていました。プロのデザイナーになってからもその感性は健在でした。マリーのショーのモデルたちには、いつもビックリするようなメイクが施されていて、取材陣を驚かせました。でもそれによって全体のフィーリングやムードがより強調されることをマリーは知っていました。にもかかわらず、マリーがショーで使いたいと思うような「斬新なメイク品」はどこを探してもありませんでした。マリーは考えました。「私の服を着てくれる人たちに、それに合うメイクができる全く新しいコンセプトのコスメを創りたい」「創らなければ・・・」と。その思いが、マリーを新しい冒険にかりたてたのです。

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