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EPISODE 36:はじめての日本・・・その2

マリーは日本でのスケジュールを意欲的にこなしていきました。

テレビへの出演も雑誌や新聞のインタビューも・・・。大阪への移動に利用した新幹線の旅も快適そのものでした。スケジュールの合間には、夫のアレキサンダーと一人息子のオーランドとともに、横浜の中華街に行ったり、公園を散歩したり・・・親子3人で過ごすこともできました。マリーにはとっては久しぶりにハードな毎日でしたが、好奇心がマリーに疲れを感じさせませんでした。

特に、ブティックや百貨店を訪れたときのマリーの瞳は輝いていました。ブティックはそもそもイギリスで生まれたものでしたが、すでに店ごとの個性が失われつつありました。それに比べて、日本のブティックは個性豊か。しかも、世界中のファッションが採り入れられていることにマリーは驚きました。

どうしてもっと冒険しないんだろう。正直なところ、マリーには日本の女性がまだまだ形式にしばられているように感じられたのです。1972年のころのことです。

でも、日本人のあのしなやかな身のこなしや静穏さを感じさせる何か・・・あれは西欧の女性が真似しようと思っても絶対に無理。生活習慣がもたらしたものかも知れないけれど、実に自然に身についている・・・その「動作」にマリーは惹かれました。それに、子供っぽいかわいらしさと洗練された面を持ち合わせていて、とても魅力的だと。それをデザインに反映させたい・・・とマリーは思いました。マリーの創作意欲をかきたてたのは、そればかりではありません。レセプションで言葉を交わした人たちが揃って、マリーの次のステップをとても楽しみにしてくれていることが痛いほどわかりました。

「新しいモノを常に生み出してくれる。マリーのファッションもコスメも変わり続ける。」

・・・その期待がマリーの心に火を付けました。

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